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ヨロン島、後世に残したい
「島人の歩み」

Reporter 菊凛太郎

祖母が作り上げてきたもの

私の祖母、菊千代が「与論民俗村」の前身である「与論民具館」を始めたのは今から55年前の1966年。当時は高度経済成長の影響で、島内にもプラスチック製品や電化製品が普及し、暮らしの形が一気に変化し始めた頃でした。

新たな暮らしの道具が入ってくるのに伴い、それ以前まで使われていた昔の道具は捨て去られていきました。そんな中、祖母は親から、「お前たちをここまで育てるために使ってきた道具はそう簡単には捨てられない。小屋が空いているからそこにしまっておけばいい」と言われ、祖母は小屋に民具をしまうようになりました。民具を集め始めると次第にそれが面白くなり、最初は10点ほどだった民具が20点、30点と次々増えていきました。

小屋にも収まりきらなくなってきた頃、その様子を見ていた知り合いから資料館を始めてみてはとアドバイスを受け、「地元小学生の社会科の勉強にでもなれば」というくらいの気持ちから、茅葺民家に民具を展示した、「与論民具館」始めました。
その後、現在の「与論民俗村」に改称し、ただ民具を展示し解説するだけではなく、「来場者自身にも身を持って与論の文化に触れてほしい」という思いから、芭蕉布織りや草木染め体験など様々な体験教室も行うようになりました。

▲芭蕉を紡ぐ祖母

地元小学生に向け、昔の民具を使ってさとうきびから黒糖を作る体験の受け入れを行ったり、与論島の文化を知るうえでなくてはならない場所となったことを、祖母は「当時の女性の多くは大島紬などを織って家計を助けていたのに、私はその間、お金にもならない民具集めに熱中していました。家族にはとても迷惑をかけたと思います。でも今は島内外の多くの方から、与論島の昔の暮らしを知ることができる場所として認められて、またそれを子や孫が継承してくれてとても嬉しく思います」と話しています。民俗村へお立ち寄りの際は、菊千代とのおしゃべりを楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

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2022年1月19日 菊千代様のご逝去の報に接し、謹んで哀悼の意を表します。ヨロンFun編集部一同

与論民俗村 住所:鹿児島県大島郡与論町麦屋693-2 URL:https://yoronminzokumura.com 問い合わせ先:0997-97-2934 営業時間:9時〜18時 定休日:年中無休

SNS(Instagram/Facebook):@minzokumura.yoron

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