「与論献奉」(よろんけんぽう)、この言葉を聞いたことがありますか?
一度聞いたら忘れない、一度体験したら癖になる!? それが、みんな大好き与論献奉です。
みんなというのは言い過ぎかもしれませんが、実際に一部の島人はあきれるくらい与論献奉が大好きです。
与論献奉の始まりは1561年(永禄4年)と考えられています。この時期は与論十五夜踊りの始まりと同時期。その当時はお酒は家で造るものでした。海に囲まれた小さな島に、はるばる来てくれた客人を心を込めておもてなしする際の儀式として、与論献奉が誕生したと考えられます。
具体的にどういうものかというと、
①与論献奉の施行者である「親(おや)」がまず自分の盃にお酒を注ぎ、自己紹介と歓迎の言葉を述べてから一気に飲み干す
②その場にいる全員に同じ盃でお酒を回し、親に習って自己紹介と一言述べてから飲み干す
③全員に回し終わったら「ご苦労盃(ごくろうはい)」といって客人から親にお酒を注ぎ、それを飲み干して終了というのが本来の形でした。
コロナ禍では、お酒の回し飲みは控えましょうという町内放送が流れたほど島人同士の間でも日常的に行われていました。与論献奉はこのまま無くなるのではと思われました…が、しかし2024年現在、聞くところによると回し飲みはしないものの、口上を述べてお酒を飲む与論献奉の精神はしっかりと島に残っているようです。
与論献奉を体験したい方もいるでしょうが、与論献奉に特化した体験ツアーなどは残念ながらありません。
コロナ禍前は島の人が集まる居酒屋に行けば観光客にお酒を回している光景も見かけましたが今は難しいかも。思いつく限りでは、ヨロンマラソンに参加したり、民宿 星砂荘に宿泊するなどすれば体験できるかもしれません。
私は島に来て最初の3年間で一生分の与論献奉を経験しました。本来の意味から考えれば、島に移住した私を大歓迎していただいていたのだなと有難く思います(笑)
お酒が好きな島の気質はもちろん、与論献奉は、人が大好きで出会いに感謝し、目の前の人をもてなしたいという島人の優しい気質から生まれた文化ではないでしょうか。
与論献奉という、相手を想う文化が続く限り、ヨロン島は今日も平和。もちろん、本来の意味を見失って度を越さなければ…という忠告もお伝えしておきます(笑)
与論献奉のやり方は有村酒造HPを参考にしました