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ヨロンの種特集ヨロン島の伝統行事「浜下り」 残していきたい特別な日
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ヨロン島の伝統行事「浜下り」
残していきたい特別な日

Reporter 原田りえこ

ヨロン島の旬の話題をお届けします。

浜下り、泣かないで出来るかな?

旧暦3月3日(2023年4月22日)、ヨロン島の伝統行事「浜下り」が行われました。

「浜下り」はヨロン島では「はまくだり」「サンガチサンニチ」とも言われ、この1年の間に産まれた赤ちゃんの足を海水につけて健やかな成長をお祝いする日です。島内では平日であってもこの日は学校やこども園が半休になります。島外で暮らす人でも帰島し、お祝いすることも珍しくありません。

そんな島の人にとって、とても大切にしている伝統行事。ヨロンFunにもたびたび登場しているあかりちゃんが今年、浜下りをすると聞きつけ、その様子を取材させてもらいました!

▲海を前にしても余裕の表情のあかりちゃん

あかりちゃんは昨年の浜下りのあとに産まれ、1歳になったばかり。浜下りをする赤ちゃんの中では年上の方です。海をフィールドに活動している両親の影響もあり、すでに海には慣れっこなのでしょう。海を前にしても余裕の表情!

海に入る時は、赤ちゃんに草鞋をはかせ、男の子にはビク(竹かご)、女の子にはソイ(ざる)を持たせて無病息災を願うのが習わし。草鞋を編める人も減ってきていて、この時期になると「あそこのお店はもう売り切れだった」「野っ菜堂で売ってたよ!」なんて情報が親同士の間で飛び交います(笑)

▲初めての草鞋に少し不満げ?

この日は雨は降らなかったものの、風が強く吹いていました。そんな中、小さな足に草鞋を履かせるのは一苦労。うちの子(当時6ヶ月)はこの時点で大泣きでした。それもまた思い出です。

両親に抱えられ、祖父母に見守られながら、「元気に育ちますように」と小さな足が海にチャプン。あかりちゃんは全然泣きませんでした。さすが!

浜下りで初めて海に入る子もいます。何をされるのか怖がって大泣きする赤ちゃんがほとんど。泣いている赤ちゃんを見て笑ってるほほえましい家族写真が島内あちこちにお家に眠っているはずです。

 

残していきたい大切な風習

旧暦3月3日は大潮なので、島の多くの人が潮干狩りをしたり海でプチムッチャー(よもぎ餅)を食べたり泳いだりと海に親しみます。お酒を持ち寄って浜辺でそのまま宴会となる光景も見られました。

「昔は学校が半休じゃなかったから、子どもたちが帰ってくるのを今か今かと待って、帰ってきたら急いで準備させて海へ行ったものだよ」と話してくれた方がいました。

ヨロン島で育った子どもたちには「旧暦3月3日は大人たちも仕事を休みにして、みんなで海へ行った」という楽しい記憶が刻まれているんだなと思いました。そして、自分の子どもたちにも同じことをしていくのでしょう。

「この島で子育てしたい」と言って移住をされてくる方もいますが、新しい命を島中で祝う風習、家族の繋がり、海と共にある暮らし、こういうところに惹かれるのではないかなと思います。島に暮らす私自身も、未来に残していきたい大切なものだと感じています。

次の旧暦3月3日は、2024年4月11日(木)です。来年もまた、たくさんの新しい命をお祝いできますように。

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