製糖工場からもくもくと立ち上がる煙。
バリバリと音を立てながら、サトウキビの収穫をするハーベスタ。
ラジオを流しながら手刈りをする人たち。
これがヨロン島の冬の風景です。
そんな光景に見慣れていたヨロン移住8年目の私ですが、キビ刈り経験はなし。興味はありつつも、機会がありませんでした。
ところが、ついにキビ刈りと黒糖作り体験をする日がやってきました。小学校に通う子どもが授業で体験することになったからです。
見るのとやるのでは全然ちがいました・・・。そんなキビ刈りと黒糖作り体験をレポしていきます!
キビ刈りは、キビ倒しから始まります。斧や鍬を使ってキビを根元から倒していきます。
続いて、キビ刈り。子どもたちと保護者が集まって、鎌を手にバッサバッサと葉を落としていきます。先が二叉に分かれたキビ刈り用の鎌を初めて見たのですが、確かにこの鎌だと早い。
見よう見まねでやってみるものの、いまいちコツがつかめずアタフタ。同じく初体験の子どもと一緒に、2m以上はあるキビと格闘し続けるうちに、だんだんやり方が分かってきました。
キビ刈りにもコツがありますが、キビを束ねるのにもコツがいる。途中からキビ束ね隊に転向した私ですが、キビをひもで束ねるのにもやり方があって、これまたアタフタ。
何度もやり方を見せてもらって、なんとか束ねるも、今度は重い! なんと、キビってこんなに重いのか・・・!
「はしを揃えるといいよ」と言われるも、長さがバラバラのキビを揃えるのはなかなか大変。2時間ほどの作業でしたが、とっても疲れました。
この時以来、畑の片隅にきれいに束ねられたキビを見かけるたびに、尊敬の気持ちがわいてくるようになりました(笑)
数日後、今度は与論民俗村に集まって黒糖作り体験をしました。「砂糖車」を使って昔ながらのやり方でキビを絞ります。
砂糖車にキビを差し込む係、反対からさらに差し込む係、回す係と分かれて行います。
昔は牛が回す役だったと話す村長の菊さん。「さぁ、牛の気持ちを体験してみてください」と言い出し、大人と子ども10人近くで押して回していたものを、大人一人で押すという無茶振り。大人が交代で一人ずつ回しました。
私の番が来て、ドキドキしながら押してみると思ったより軽い。「一人でもすんなり回せる・・・余裕じゃん・・・?」とほっとしました。
ところが、新しいキビが差し込まれる時がとても重たい。前日たっぷり降った雨のおかげでぬかるんだ足元はすべりまくり。子どもたちの応援むなしく、動きが止まってしまった私にヘルプが入り無事1周することができました。
「牛の気持ちがわかったでしょ?」と村長は笑っていました。「牛もね、お昼に休憩した後はやりたがらないんだよ」と。
ですよね・・・! 牛さんおつかれさまです・・・!
キビを絞った後は、煮詰める作業です。こちらも昔ながらのやり方でかまどに火をおこして煮詰めていきます。
ここからが長い! 民俗村の中を案内してもらったり、各々遊んだりして過ごします。その間、菊さんはずっと鍋につきっきり。なかなか根気のいる作業です。
その横で一緒に煮詰めている様子を見ていると、菊さんが与論の昔話やゆんぬふとぅば(与論の言葉)の話をいろいろしてくれました。
これが、とても興味深い!
菊さんが子どもの頃に牛の幽霊を見た話は、一緒に聞いていた子どもたちも大盛り上がりでした。
キビを絞った直後からだんだん煮詰まっていく途中で、何度か試食させてもらいました。
キビを絞った直後は、正直青くささがあって甘いことは甘いんだけど飲みにくい感じ。おそらく前日に降った雨でキビが濡れていたからもあるだろうとのことでした。
それが、煮詰めていくにつれて、色が変わり、どんどん濃くとろとろした感じになっていきました。そして、味もだんだん変化し・・・完成形の黒糖は濃厚でとてもおいしかったです。
今回、キビ刈りと黒糖作り体験をしてみて、こんなに重労働なのかとびっくりしました。
そして、できたて黒糖はとてもおいしい!ぜひ多くの人に黒糖を味わってほしいです。
ヨロン島では黒糖があちこちで売られていますし、特に「純黒糖」が売られていたら、ぜひ試してみてください。
黒糖は煮物に入れるなど料理にもいろいろ使えますが、私としては温めた牛乳に1かけ入れると、ほっこり幸せな飲み物になるのでおすすめです。
また、今回黒糖作り体験をした与論民俗村のすぐ近くにあるお土産屋「くるまどう」では、しぼりたてのサトウキビジュースが飲めますので、そちらもぜひ立ち寄ってみてくださいね。