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ヨロンの種特集ヨロン島に来年OPEN 「Muuru」が生まれるまでの話
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ヨロン島に来年OPEN
「Muuru」が生まれるまでの話

Reporter 原田りえこ

ライターが見つけた旬の話題を独自取材しました。
「Muuru」が出来るまでを追う連載記事、第2回目です。

2025年春に大金久地区にOPENを予定している観光施設「Muuru(ムール)」の建設が進んでいます。今回はゼネラルマネージャーの池田剛さんにお話を聞きました。聞き手はヨロンFun編集部兼ライターの原田りえこです。
◆前回の記事は→こちら

海と人とを繋ぐ拠点

Fun: お時間を頂きましてありがとうございます。お話を伺うのは「Muuru」のゼネラルマネージャー 池田剛さんです。

剛 : よろしくお願いします。

Fun: …とかしこまってみたものの、剛さんはヨロンFunの運営メンバーで普段からよく知っている間柄ですので、普段のように“剛やか”呼びでお話を伺っていきたいと思います。(やかはヨロン島の方言で、年上の男性につける敬称です)

剛 : こちらからも最初に伝えておきたいことがあって、今回インタビューしてもらうけど次では変わっているかもしれないです。

Fun: え?

剛 : 方向性はぶれないように、大きなところは変わらないというのは当然なんだけど、まだ作っていく最中のところなので日々アップデートしつつ進んでいます。

Fun: それは建物内のソフト面について?

剛 : いろいろ。いろいろです。

Fun: なんとなく大変さを察します(笑) えっと、それでは変わらない部分をお聞きしていこうかなと思います。

剛 : はい。

Fun: Muuru建設の計画はいつから始まっていたのですか?

剛 : 2018年の9月に日本財団の助成金を活用して建物を建てるという話が上がって検討を始めました。ですが、それ以前から百合ヶ浜への玄関口である大金久地区を活性化するべきでは、という内容のことが与論町の課題としてあがっていました。私の所属する特定非営利活動法人 ヨロンSC(以下、ヨロンSC)としても海に関わる立場の中でなにか地域貢献できることはないかというのはずっと考えていました。

Fun: 私は2016年に移住しましたが、当時の大金久地区は何というか…昭和な雰囲気で…百合ヶ浜のイメージダウンにならないかなと思ったこともあります。課題だったという話、納得です。

剛 : 建物を建てるという案が見えたあと縁があって仕事で知り合った方から日本財団の助成事業“渚の交番事業”について教えてもらいました。この事業のコンセプトが「海と人とを繋ぐ」なんです。これは与論町が目指すところに重なるんじゃないかとピンときて、ヨロンSC内部や与論町役場、観光協会など島内で具体的な話合いが始まりました。

Fun: 渚の交番プロジェクトとは、海辺をフィールドに活動している団体だけに限らず、地域の様々な団体や活動を横断的に連携させ、点ではなく面で海辺の安全と安心を向上させ、誰でもアクセスできる楽しい海創りに取り組むもの。海辺の拠点づくりを目的としたプロジェクトですね。(参考:日本財団 渚の交番プロジェクトHP)

剛 : 2019年に入ってからは与論町役場商工観光課の課長(当時)と東京の日本財団を訪れて詳細を伺ったり、他の渚の交番事業を行っている地域を視察したり、日本財団が開催している企画立案ワークショップにも参加して学んだりと、いっぱい勉強しました。

Fun: 私の地元の静岡県にも行かれていて驚きました。

剛 : 日本財団の方が来島される機会もあり、現地を見てアドバイスを頂きました。やり取りする中で、箱ものを作るわけだから一般的な施設でなくヨロン島なりの特徴を出した方がいいのではないかと。

Fun: ヨロン島らしさですね。

剛 : そう、特徴的な企画が欲しいという中の一つに“デザイン”に特徴を持たせようという話に。

Fun: おぉ!

剛 : そこで当時から関係を築いていた3710LABさんから、デザイナーの大城健作さんを紹介していただきました。建築については大城さんを中心に建築デザインが進められ、スタジオコチアーキテクツの五十嵐さんも携わってくださって、パーツイメージ図を作って頂いたものを添えて申請し、2020年3月助成決定に至りました。

Fun: このすごい方々については今後詳しくお聞きしていきたいと思いますが、イメージ図を見せて頂いた当時とてもワクワクしたことを覚えています。

剛 : デザイナーさんも建築士さんもすごいですよね。その他にも様々な専門家や関係者が関わっています。ここまで多様な方たちと話を進めながら一つのものを創り上げていく作業は初めての経験で、新しい気付きが多くて、大変だけど面白いです。

Fun: 私、瀬戸内海の直島が好きなんです。ヨロン島にも芸術的な要素がもう少しあったらいいのになと思ってました。

剛 : 与論町って人との距離が近く共同体をつくっているので、よくも悪くも真面目になってしまう面があると思います。こういった大きな建物を創る時も、島民みんなに受け入れられるものをという考えになってしまって公共的な真面目なものになってしまいがちかなって思います。

Fun: 分かります。

剛 : そこに大城さんたちのような一流のアーティストの視点が入ったことで、枠組みをぶち壊してくれたんですよね。枠を広げて、見たこともない世界や感性を味わわせてくれるというか、これがデザイナーなんだなって。

Fun: うん、うん。

剛 : でもね、島民の側の話も聞き、専門家の方たちと視点が違う中でどうみんなの想いを最大化するのかっていうのが難しい。

Fun: そっか(笑)

剛 : 難しいです(笑)

Fun: ところで、このMuuruという名前は、どうやって決まったんですか?

剛 : あ、それはデザイナーの大城さんがヨロン島に来た時に才良やかにガイドしてもらって島内を周ったんですね。その時に才良やかが口にした「ムール」という言葉がいいねって、そう言われたことからアイデアを出し合った中で、最終的に大城さんが決めました。

Fun: 方言の「ムール=みんな」ですね。

剛 : そうです。

Fun: この名前に込めた想いとは?

剛 : 大事にしたいところはMuuruという場所を通して「この島の未来をみんなで創っていきましょう」という目に見えない部分。みんなで一緒に島の未来に関わっていこうよという想いを伝えていきたいです。

Fun: みんなというのは、島の人たちと…

剛 : 観光で来てくれる方、ヨロン島に関わりを持ってくれる方、みんなです。みんなにとっての居場所になればいいなと思ってます。

(つづきます)

Muuru建設中
2024.6.30撮影

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