3人目:重久愛さん(ヨガトレーナー/移住コーディネーター/ライター)
か な: それでは、さっそく伺っていきます。
いつみ: はい。
か な: ヨロン島に住んでいた時は、どんな子どもでしたか?
いつみ: そうですね、おてんばだったと思います。…おてんばでしたね。
か な: へぇ。
いつみ: 小さい頃からおてんばではあって、好奇心強めの。ただ年頃になると人と接するのが苦手というか狭くて深い付き合いをしていた記憶があります。
か な: 海には遊びに行ってましたか?
いつみ: もう、もっぱら海が遊び場です。中学も高校も、学校終わったらそのまま赤崎海岸に行って海に飛び込んでいましたね。
か な: あはは。いいですねぇ!
▲警視庁時代、合気道大会で優勝した時の様子
か な: 今は秋田県にお住まいですが、どんな経緯でヨロン島から秋田に?
いつみ: 与論高校を卒業してから警視庁に勤めていました。
か な: 警視庁!
いつみ: はい。警視庁を辞めた後、結婚をきっかけに秋田へ移住して、現在は地域おこし協力隊として活動をしています。
か な: えっと、テレビドラマの世界では警視庁に入るにはキャリアを積んでいくイメージがあるんですけど…警視庁に入るまでをもう少し聞いてもいいですか?
いつみ: 最初は警察学校に入って、寮生活をしながら訓練を受けたり法律など必要な教養を学んで…
か な: 訓練! 厳しそうですね。
いつみ: 厳しかったですよ。その後に第一線に出るんですが、ありがたいことに早い段階でご縁に恵まれて捜査員の道に進みました。
か な: へぇ、すごい。
いつみ: それはヨロン島出身というネームバリューも多少影響したのかなと感じています。すぐに存在を覚えてもらえました。
か な: 確かに。ヨロン島出身って言ったら目を惹きそうですね(笑)
いつみ: それから当時の政府が女性の職域拡大を掲げていたこともあります。警視庁は男社会なので、女性の存在は貴重でした。性犯罪などが増えていくなかで被害者支援は特に重要でしたし、役割も大きかったです。
か な: なるほど。
いつみ: だから私がキャリアアップできたのは決して自分の力だけではなくて、周囲の支えはもちろんですけど環境や時代の影響もあったと思っています。
か な: 何年くらい勤められたんですか?
いつみ: 13年です。
か な: おぉ、結構長いですね。あの、ドラマの見過ぎかもしれないんですが、警視庁のお仕事はすっごく忙しいイメージなんですけど、実際はどうなんですか?
いつみ: そうですね。おっしゃる通り、何かあれば夜中でも休みでも職場に行きますし、夜勤もありました。プライベートの時間はなかったですね。
か な: わぁぁ…大変でしたね。
いつみ: やりがいのある仕事でした。本当は辞めたくない気持ちもあったんですが、ヨロン島へ帰省もなかなかできないし、これまでのキャリアを活かして新しい道に挑戦するのも面白いなと思って、退社を決めました。
か な: 東京から秋田に移住されることへの抵抗はなかったんですか?
いつみ: 転勤族でしたし、突発で震災派遣とか海外などあちこちに行っていたので、秋田に行くこと自体には抵抗はなかったです。でも、ヨロン島に帰るのに2日かかるので、両親に何かあった時にすぐに帰れないってことは今も不安ですね。
か な: 確かに。
▲いつみさん(左から2番目)と、共に活動する仲間たち。
か な: 秋田へ移住して、カルチャーショックだったことはありますか?
いつみ: おもしろかったのが、秋田のお母さんたちにヨロン島出身ですって言ったら、「しっだげ日本語うめーなぁ」って言われたんですよ。「しっだげ」って、すごいって意味なんですけど。
か な: あはははは、海外だと思われてた?
いつみ: そうなんですよー! ヨロン、グアム、みたいな。
か な: 地域おこし協力隊の仕事を選ばれたのは、理由があるんですか?
いつみ: 警察に戻るチャンスも頂いたんですが、そうするとヨロン島とはお付き合いのない生活になっちゃう。秋田のことも勉強できますし、地方創生という業務内容でヨロン島にも貢献できると思ってです。
か な: そういえば、ヨロン島のママさん向けにヨガの動画配信などもされてましたね。あんまぁ~ずさんが紹介していたのを見ました。
いつみ: 私も子どもを産んで母親になって、体に感じるいろいろな変化や、これまで育ててきてもらった環境などを振り返る時間があって、島のママさんのために出来ることをしたいと思い、あんまぁ~ずさんに声をかけさせていただきました。
か な: なんだか近い将来、あんまぁ~ず秋田支店とかできそうですね(笑)
いつみ: 秋田にも同じような想いで活動されてる子育て支援のNPO法人があるんですよ。コラボしてイベントなど出来たらいいなと思います。
か な: いいですね。ヨロン島の子どもに雪を触らせてあげたいです。
いつみ: ヨロン島の人にとっては北国って憧れますよね。
か な: 交換留学とか、できたら面白いかも。
いつみ: 秋田で「青い魚を食べたことある?」って聞いたらびっくりされました。
か な: あーーー、それは私もヨロン島に来てカルチャーショックでした! こんなカラフルなのも食べるんかーって(笑)
か な: 地域おこし協力隊は任期が3年間と決まっていますけど、いつみさんの任期はいつまでですか?
いつみ: 2022年7月です。
か な: お仕事をされてきて、どうですか?
いつみ: 大変ですが面白いですね。モットーが“楽しく苦しむ”なんですが、まさにこれを味わってます。大変なことも楽しみながら向き合ってます。
▲秋田初「せば、YOGA!フェスタ」を企画(左から2番目)
か な: これからの夢を教えてもらえますか?
いつみ: 難しいですね…いっぱいあるんですよ。
か な: (笑)
いつみ: 協力隊の任期終了後は、今出演させていただいているテレビのコメンテーターの仕事を続けながら、起業を考えてます。
か な: 起業ですか?
いつみ: ヨガを活用した地域創生のまちづくりです。
か な: へぇ。
いつみ: ヨガトレーナーやスタジオ運営という形ではなく、少し広げた形で構想を考え中です。詳細はまだ内緒ですけど、秋田とヨロン島を繋げられたらいいなと思って準備しています。頑張ってます(ぺこり)
か な: 最後に、ヨロン島の子どもたちに向けてメッセージを頂けますか。
いつみ: 子どもたちはヨロン島に生まれ育ったというだけでかなりの利点だと思います。今ある生活が恵まれているっていうことを意識して、社会に出てからも絶対活用できるし、戻ってくる時も他のいろんなものを見てきてから戻るとヨロン島を見る目が変わると思います。
か な: うん。
いつみ: それから、私たち親世代は「何もないから」を口癖にしないということ。「ヨロン島で生まれ育ったことを自分の強みとしてどう活かすか」を子どもに伝えた方がいいと感じています。
か な: 母からの視点というのは新鮮です。親子でお互いにいい刺激になるといいですよね。
今日はありがとうございました!
(おわり)