6人目:原田沙織さん(歯科医師)
※以下、敬称略
かな: 今回の“旅の島んちゅ”は重久愛さんからご紹介頂いた原田沙織さんです。愛さんより、「同級生で北海道や富山、長崎など津々浦々行ったり来たりしている面白い歯科医がいます」とご紹介を頂きました。
沙織: よろしくお願いします。
かな: 今日はヨロン島に帰省されている貴重なお休みの中でお時間を頂きまして、ありがとうございます。さっそく、いろいろお聞きしていきます。
沙織: はい。
かな: ヨロン島に住んでいた時は、どんな子どもでしたか?
沙織: どんな、どんな…。小学校の時は水泳スポーツ少年団でした。
かな: じゃあけっこう活動的な。
沙織: 真っ黒な少女でした(笑)
かな: 外遊びばっかりで?
沙織: 外でしか遊ぶところなかったですからね。
▲真っ黒になって遊んでいた少女時代
かな: 海には遊びに行ってましたか?
沙織: よく行ってかというとそうでもないです。近くにありすぎて別に。
かな: そっかぁ。
沙織: 大人になって帰ってきたら必ず海行きますけど。
かな: マリンスポーツとか?
沙織: いや。ただ海を眺めて。
かな: あら、すてき。
沙織: そんなおしゃれな感じじゃないんですけど。とりあえず、冬だろうと夏だろうと足だけは海に浸かって。
かな: あー、いいですね。
▲ヨロン島帰省時にインタビュー(右側が沙織さん)
かな: 高校卒業後は島外に?
沙織: はい。長崎大学の歯学部に。
かな: 歯医者さん?
沙織: はい。6年間通って、それから雪の中に住みたいって北海道に行って。北海道で研修医して、北大の大学院に入って札幌に住んで。
かな: うん、うん。
沙織: 3、4年目を富山県の公立病院に北大から出向で勤務して、それから北大大学院に復学したので札幌にまた住めることになって、北大大学院を卒業するタイミングで長崎の母校から話があったので長崎に2年間行って…えぇーーーーとぅ(深呼吸)
かな: はぁー。
沙織: 2021年3月まで長崎大学に勤務して、もっと違う環境で仕事をしたいと思って、かつての出向勤務先であった病院に戻ることに。
かな: なるほど。
沙織: ってことで、現在は富山県砺波市の総合病院歯科口腔外科の責任者として勤務しています。
かな: 長崎北海道富山北海道長崎富山…
沙織: です。
かな: すごい、この3県を。
沙織: 3県を回っているんです(笑)
かな: 大学院に入って博士課程を取ろうと思ったのは、なぜなんですか?
沙織: 口腔外科って特殊なんで。歯科医師免許ではあるんですけど外科的なことばかりやってるんで。
かな: こうくう?
沙織: 外科。
かな: 口腔外科?
沙織: 手術をするところです。身近な例で言うと親知らずを抜いたりとか、がんの手術だったり骨折の手術だったりとか。
かな: 歯医者さんじゃできない親知らずとか?
沙織: そうそうそう。
かな: 理解しました。私もついこの間、親知らずが横から生えてるから無理だよっていわれて招待状を。
沙織: 紹介状(笑)
かな: (笑) 紹介状をもらったので、島外の病院に行かなきゃ、って。
沙織: そういう紹介状を受け取って診療するのが、私たちの仕事です。
かな: なるほど。
沙織: 私はいわゆる歯医者さんの治療をして一生送っていくのは嫌だなって思ったんです。それで「口腔外科」っていう専門性を持った方がいいかなって考えて。
かな: そもそも歯科医を目指そうと思ったきっかけは?
沙織: うちの母方の祖父母が沖縄で開業していて歯科医さんだったんです。
かな: へー!
沙織: 祖父は早くに亡くなっているので私は会ったことはないんですけど、祖母が80歳くらいまで歯医者さんをやっていて。
かな: 80歳!? すごい。
沙織: その姿を見て、4歳くらいの時に「私もばばちゃんみたいになりたい」って言ったんですって。私は全然覚えてないんですけど。
かな: へー!
沙織: 小学校の卒業文集とかにもそう書いてるし、横道にそれることもなく、自分の意志だったんだなぁって思うんですけど。
かな: うん。
沙織: 歯医者さんになりたいはずだったのに、いわゆる歯医者さんの治療は自分に向いてないんじゃないかって思って、その中でも特殊な口腔外科の世界に足を踏み入れてしまったという。
かな: あはははは。
▲北海道のスキー場で撮影
かな: ヨロン島を離れてから、カルチャーショックだったことはありますか?
沙織: うーん、雪の中から帰ってきましたからね(笑)
かな: やっぱり、ないものねだりなんでしょうか?(笑)
沙織: ほんと、ないものねだりだと思います。雪の中に住みたいって。札幌でも富山でも、雪が降って大騒ぎしてたら、周りはみんな意味が分かんない、雪の何が楽しいの? みたいな(笑)
かな: あはは。ヨロンに住んでて海に行かないのと同じですよね。
沙織: 雪の中に飛び込んだら楽しいだろうなって思うんですけど、みんなそれをわかってくれない。
かな: でも雪が嬉しいのも最初だけじゃないですか?
沙織: みんなそう言うんですよ。でも雪国生活9年目ですけど、楽しいです。
かな: あー、すごい。
沙織: まだ楽しめる。
かな: 雪だるまとか作っちゃう感じですか?
沙織: あれは、ちょっと一人じゃ作れないから。
かな: さすがに作らないか(笑)
沙織: いや、1人で作れないから作らないっていうだけで。札幌で初めて雪が降った時、お正月に札幌にいたんですけど、12月31日に退院する患者さんと病院の玄関のはじっこで雪だるま作りました(笑)
かな: あはは、かわいい。
沙織: 作りたいって言ったら、じゃあ退院の時にお世話になったお礼に一緒に作ってあげるよって言ってくれて。私が作った初めての雪だるまはそれでした。
かな: 最高ですね。
▲患者さんの治療に真摯に取り組む沙織さん
かな: これからの夢やビジョンを聞かせてもらえますか?
沙織: 地域を支える病院として、その機能を持するだけのことをちゃんとやっていきたい。それが私に課せられた課題なので。
かな: うん。
沙織: 紹介状を貰った患者さんを受けるのが私たちの仕事だから、信頼関係は大事で。地域の開業医の先生、患者さん、院内のスタッフや先生方みなさんと、良い関係でやっていけたらと思います。
かな: 今住んでいるのはどんな所なんですか?
沙織: ヨロン島をそのまま10倍くらい大きくした感じの、のんびりしたところです。良くも悪くもヨロンの拡大版みたいな感じかな。
かな: へぇ。
沙織: 散居村っていうんですけど、田んぼと田んぼの間に家があるから隣の家はずっと向こう、みたいな。
かな: うーん、それじゃあけっこう田舎?
沙織: 田舎感ばっちりです。島で育ったこともあって、よけいに、へき地医療のことを考えたりしますね。
かな: 最後に、子どもたちへメッセージをお願いします。
沙織: 夢を持ち続けて下さい。
かな: うん。
沙織: 夢を見ることは大事です。4歳から言い続けていたら、いつか実現するかもしれないので(笑)
かな: 言い続けてきて今の沙織さんがありますもんね。ほんとに夢を持つこと、子どもたちに伝えたいです。今日はありがとうございました!
(おわり)