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ヨロンの種特集インタビュー「ヨロン島の海洋教育って、なんですか?」
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インタビュー「ヨロン島の海洋教育って、なんですか?」

Reporter ヨロンFun編集部

ヨロン島の気になるコトを聞きに行こう。
「与論町海洋教育推進協議会」の事務局を訪ねてみました。

話を聞いた人:事務局の皆さん
(左から)

磯村愛子さん:福井県出身。地域おこし協力隊として3年前にIターンし、教育委員会に配属。海洋教育の推進に携わる。
兒玉拓世さん:広島県出身。教育委員会指導主事として2年前に赴任。海洋教育推進協議会事務局長。
田畑香織さん:ヨロン島出身。4年前にUターンし、学習塾「まなび島」を開校。塾長の傍ら、海洋教育など町の取り組みに幅広く尽力されている。

 

海洋教育って、なんですか?

Fun: こんにちは、よろしくお願いします。

愛子さん: よろしくお願いします。

Fun: はじめに少し説明させていただくと、ヨロンFunは「海と人とコミュニティをつなぐヨロン島のローカルウェブマガジン」として昨年10月に始まりました。地域ライターが取材した観光情報を中心に、ヨロン島の旬の話題や、島外で活躍している人を紹介するコーナーなどがあり、少しずつですが読者も増えているところです。

愛子さん: 見ました。空手家さんの話、良かったです。

Fun: ありがとうございます! やっぱり誰かの話を聞くのは面白いね、島内でもインタビュー企画を増やしたいねと編集部で話していて。まず上がったのがこの海洋教育ということで。

愛子さん: ようこそお越し下さいました(笑)

Fun: ヨロン島には3つの小学校(茶花小・那間小・与論小)と、中学校・高校が1校ずつあります。2019年度から与論町教育委員会では海洋教育パイオニアスクールを導入、町内の小学校から高校まで連携して海を通じた学びの活動を行っている。それが海洋教育ということですが…。

兒玉先生: はい。

Fun: さっそくですが、「海洋教育って何?」ってところを聞きたいんですけど。

兒玉先生: はい。海洋教育という教育のジャンルは、国が定めている…ちょっと硬い言葉が繋がっちゃうんですけどいいですか?

Fun: 大丈夫です。

兒玉先生: 国が定めている「現代的な諸課題に関する教育」のひとつで。

Fun: いきなり難しいですねっ!

一同: あはははは(笑)

兒玉先生: 諸課題というのは、地震による津波、海洋汚染、地球温暖化に伴う海面上昇のこととかですね。与論町では、2017年度から茶花小学校が海洋教育パイオニアスクール単元開発部門を導入して、海洋教育についての学びをしていました。

Fun: ヨロン島で海洋教育を始めたきっかけは茶花小の取り組みからなんですね?

兒玉先生: そうですね。海洋教育の目的も達成しているけど何より素晴らしいのは、「地域の人たちと関わり合いながら、子どもたちが探究活動をしている」というところです。この学びにより子どもたちに「島だち」の力を身につけさせることが出来るのではないかということで、茶花小学校だけではなく島全体でやっていこうとなりました。

Fun: 「島だち」の力?

兒玉先生: ヨロン島の子どもたちのほとんどは、高校卒業後に島を離れて今までとは違う環境にいきます。それを「島だち」と言っていますが、島だち後もたくましくしなやかに生きていける人に育ってほしい。それが町の望みでもあったんですよ。

Fun: 分かります。都会に出て挫折してほしくないです(笑)

兒玉先生: そのために必要な姿勢やものの考え方を身につけさせる場として、海そのものの学びも踏まえつつ、海に囲まれたヨロン島の文化とか、島で生きる人々に目を向けながら学んでいこうということで始まったのが海洋教育です。

 

「見えない学力」とは。

愛子さん: 誤解してほしくないのは、「海のスペシャリスト育成そのものを目指しているのではない」ということです。だから、こうしてきちんと説明できる機会ができて嬉しいです。

Fun: ここまでの話をまとめると、ヨロン島の海洋教育とは“海”に視点を当てた授業を組み立てて、島だちに必要な力を身につけるということでしょうか。

兒玉先生: はい。学校は学力を身につける場なんですけど、学力には大きく2つあって、見える学力と見えない学力。

Fun: 見えない学力?

兒玉先生: 数値化できるテストの点数のような見える学力と、たくましさ・前向きさ・粘り強さ・自分を表現したいという気持ちとか…そういったものは「見えない学力」です。学校は見える学力だけでなく、見えない学力も身につける場なんです。

Fun: なるほど。

兒玉先生: そして、島だちには「見えない学力」も必要だと考えています。海洋教育で地域と連携しながら探究することで、ヨロン島の海や人、文化の素晴らしさに気付くことはもちろん、その「見えない学力」も身につくと思っています。

Fun: 実際の授業ではどんなことをやられているんですか?

愛子さん: 先生たちから希望を聞いて、それに沿った地域の方(地域サポーター)に声をかけて授業をしてもらっています。例えば、ヨロンFun編集部の池田かなさんには、専門分野のサンゴの話を子どもたちにしてもらっています。

兒玉先生: 同じ人に授業をしてもらうとしても、例えば小学校ではサンゴの話、中学校ではキャリア教育の視点からどうしてそんなにサンゴに詳しくなったのかを聞いてみるとか。

Fun: それはおもしろそうですね。

兒玉先生: 海洋教育のカギは「地域との連携」だと思っています。学校と地域との距離があったらうまく行かない。ヨロン島では「海洋教育ってよくわからないけど子どもたちが頑張っているんだから協力してあげるよ」と地域の人が言ってくださるんですよね。

Fun: そうですね。子どもたちには何でも協力してあげたいです(笑)

兒玉先生: とても恵まれた環境だなって思います。

Fun: 今まで取り組んできて、子どもたちに変化はありましたか?

兒玉先生: それがですね、なにぶん育てようとしていることの多くが「見えない学力」なので、今はまだ見えづらくて。

Fun: そうですよね!(笑)

兒玉先生: 島を離れてからでもいいので、子どもたちが「あれは楽しい授業だったなぁ」と思いを馳せてくれたら嬉しいなと思います。

 

地域サポーター、募集中。

Fun: 最後に、ヨロンFunを見てくれている人たちへメッセージをお願いします。

兒玉先生: ヨロン島の方へ、「地域サポーターになりませんか?」とお願いしたいです。

Fun: 地域サポーター、具体的には何をする人たちなんでしょうか?

兒玉先生: ご自身の専門分野や得意分野で、楽しさ・やりがい・難しさなどを子どもたちに語っていただければ。子どもたちにとって、それが学びになります。

Fun: 仕事の話とか?

兒玉先生: そうですね。あとは、とにかく子どもたちの学びに興味を持って下さるのが一番ですね。子どもたちに、「どんなことやってるの? すごいことやってるね」「教えてくれてありがとう」と興味を持って褒めてくださったら、それだけでも子どもたちは自己有用感を得られると思うんです。学校の先生方は数年で異動があるけれど、サポーターの皆さんはずっとヨロン島にいらっしゃる。10年20年と子どもたちの成長に長く付き合って頂けたら嬉しいです。

愛子さん: 島外にいる方には「まずはヨロンに来てみて!」と伝えたいですね。来てみて初めて分かることも多いですし、ヨロン島の独特な感じを来て体感してほしいです。

兒玉先生: オンラインを使えば、島外にいてもサポーターになってもらえますよね。ヨロンFunサークルの大学生も先輩として子どもたちに話して欲しいなぁ。

愛子さん: ぜひ、ヨロンFunでリクルートしてください(笑)

Fun: いいですね。Fun×海洋教育で、一緒に何かできそう!

愛子さん: 夢が広がりますね。

Fun: 今日はありがとうございました。

 

◆「海洋教育フェア」のお知らせ◆
日時:2022年1月28日(金) 14:10~15:40
場所:与論町 砂美地来館(サビチラ館)
小・中・高の各学校の生徒たちが海洋教育の成果を発表をします。
参観を希望される場合は以下の協議会事務局にお問合せ下さい。
※町内で新型コロナウィルス感染症の陽性者が確認された際は内容を変更する可能性があります。ご了承下さい。

与論町海洋教育推進協議会事務局 住所:鹿児島県大島郡与論町茶花1418-1(与論町役場 教育委員会内) 問い合わせ先:0997-97-2441

https://www.yoron.jp/kyouiku/kiji/pub/default.aspx?c_id=106
SNS:https://www.instagram.com/kaiyokyouiku.yoron
*地域サポーターにご協力頂ける方、ご連絡下さい。
*島留学生のお問合せもこちらまで。

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